農業遺産の概要
日本農業遺産は、我が国において重要かつ伝統的な農林水産業を営む地域(農林水産業システム)を、日本農業遺産の認定基準に基づき、農林水産大臣が認定を行う制度です。
社会や環境に適応しながら何世代にもわたり継承されてきた独自性のある伝統的な農林水産業と、それに密接に関わって育まれた文化、ランドスケープ及びシースケープ、農業生物多様性などが相互に関連して一体となった、将来に受け継がれるべき重要な農林水産業システムを認定する制度です。
歴史と伝統がつなぐ山形の『最上紅花』
~日本で唯一、世界でも稀有な紅花生産・染色用加工システム~
山形県紅花振興協議会(会長 山形県知事 吉村美栄子、副会長 山形市長 佐藤孝弘)
山形県、山形市、米沢市、酒田市、天童市、山辺町、中山町、河北町、白鷹町
山形県農業協同組合中央会、山形市農業協同組合、山形県花き生産連絡協議会、山形県紅花生産組合連合会、出羽もがみべにばなの会、山形市高瀬紅花生産組合、白鷹紅の花を咲かせる会、山形県観光物産協会、米沢織物工業協同組合、置賜紬伝統織物協同組合、山形中央クッキングスクール、落合「最上紅花」若菜を広める会、JAてんどう女性部やまぐち紅花若菜会
最上川流域(山形市、米沢市、酒田市、天童市、山辺町、中山町、河北町、白鷹町)
当地域の紅花生産と染色用への加工技術は、室町時代末期以来約450年の歴史を有しています。
最盛期の江戸時代には、紅花を染色用素材に加工した「紅餅」が、最上川の舟運で上流の米沢から酒田に集められ、北前船で京都まで輸送され、伝統的な神事の装束に用いられるなど、日本の伝統文化の発展に大きく貢献してまいりました。
紅花生産者は、朝もやが出るなどの気象条件を生かしつつ、他作物との「輪作」や有機質資材の施用により連作障害を回避する栽培方法や、収穫した花びらを自ら染色用に適する「紅餅」に加工する技術を伝承してきました。
こうした日本で唯一の紅花の生産・染色用加工システムが評価され、認定に至りました。
このシステムを次世代に継承していくため、地元自治体や関係団体等と連携して、新規生産者への技術指導や地域における紅花文化の伝承等の支援を強化します。また、国内外に積極的に情報発信して認知度を高め、観光業や食品製造業と連携して、地域の活性化につなげてまいります。