山形県紅花振興協議会は、7月22日(水曜日)、世界農業遺産への認定申請に係る承認について申請しました。
農林水産業システム名
最上川流域の紅花システム
~歴史と伝統がつなぐ山形の「最上紅花」~
システムの概要
最上川流域では、「赤」の染色用植物である紅花を、最上川流域の肥沃な土壌条件や、夏季の豊富な日射量、収穫時期に発生する川霧などの気象条件を活かして生産しています。最上川流域の巧みな土地利用により、紅花を中心とする輪作や二毛作、水稲等との複合経営を持続的に行ってきたのが、紅花システムです。当システムでは、多様な作物が栽培され、生計の保障に貢献するとともに、地域特有の食文化を育んできました。紅花は、現在も江戸時代とほぼ同じ手法で栽培され、農家自らが染色用原料である「紅餅」に加工しています。「紅餅」は、最上川舟運と北前船交易で全国に輸送され、日本の伝統的な装束、神事の赤色として欠かせないものとなりました。帰り荷でもたらされた雛人形などの上方文化は、現在も当地域に息づいています。紅花は、中近東を起源とし、シルクロードを経て日本に渡来しましたが、現在でもこのような染色用紅花の生産が現存するのは世界の中で当地域だけです。
最上川流域の紅花システムは、農作物や食文化の多様性を創出するとともに、日本の伝統文化の成立に貢献するなど、生物文化多様性を実現してきた持続可能な農業システムです。